Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
三
A
「ありがとう。その、涼介もよく似合ってるわ」
涼介も自分と同じようにお洒落をしたのだろうか。
みのりは、爽やかな好青年といった涼介の格好に胸をときめかせた。
「ありがとう。そういえば、髪上げてるの見るのも初めてだ」
腕をあげ触れてこようとする涼介の手が止まる。
少し走ったくらいでずれるような鬘ではないが、ずれてしまった
のだろうか。みのりは内心で焦りながら、そっと鬘に触れる。
(良かった。大丈夫だわ)
「お前、もう少し気の利いた言い方をしろよ。雑だなあ……」
「うるさいなあ。雅仲兄は黙ってろよ」
「ジメジメしているから思い切ってしてみたの。って、雅仲さん!
ご無沙汰しています」
みのりは涼介の背後から現れた雅仲へ向かい、頭を下げた。
「ご無沙汰しております。この度は愚弟がお世話になりまして。
ボケッとした奴ですが、どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。あの今日はどうして?」
まさか涼介の次兄に遭遇するとは思ってもいなかった。
偶然なのだろうか。みのりが問いかけると、雅仲は小さく
肩を竦ませた。
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