Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
一
C
「か、彼女ではありません」
そんな、強く否定しなくても。
強く否定するみのり言葉が胸に突き刺さる。
こっそり傷ついていると、友永が両手を立てて小さく飛び退いた。
「ととっ! うーん、まあいいや。お前、今日こそゼミサボるなよ。
冴島教授だって仏の顔も三度までなんだからな」
友永の言葉に、涼介は彼の真意を悟った。
(わざわざ捜しに来てくれたのか……)
ありがとう、と内心で礼をいいながら、涼介は頷く。
「ああ、わかってる。必ず出るって冴島先生に伝えておいてくれよ」
「了解! その代わり、コーヒー一杯なー! ドリップのやつ」
宣言するなりゼミのあるA棟へと踵を返す。
「わかったよ」
手を挙げて答えると、友永も背中を向けたまま手を振ってきた。
そのまま走り去ろうとしていた時だ。みのりが友永を呼びとめた。
「あ、あの! 涼介が出られなかったのは、
色々と家の事情が立て込んでしまっただけなんです。
だから彼自身の怠慢で休んでいたわけではないと先生にお伝えください」
深々とお辞儀をするみのりを前に、振り返った友永は目を瞬かせる。
「え? ああ、はい。大丈夫ですよ。ええっと……何さん?」
「あ、申し遅れました。梅宮みのりと申します」
再度一礼するみのりに、紅が続く。
「梅田紅」
無表情のまま、それでも律儀に名を告げる紅を前に、
頭へ手を置いていた友永は、ほー、と戸惑ったような声をあげた。
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