Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
三
IA
(か、彼女……)
みのりは恥ずかしさのあまり視線を彷徨わせた。
涼介も首元へ手をやり、照れくさそうにはにかんでいる。
「ど、どうも……」
みのりが上がった体温を下げようと手で風を送っていると、
太一の母親が目を丸くしたのが見えた。
「梅宮! 梅宮ってあの梅宮?」
「はい。あの梅宮、です」
涼介が肩を竦めながら頷く。信じられないものを見るかのような
太一の母に向かい、みのりは再度頭を下げた。
「初めまして、梅宮みのりと言います。
あの、野木崎さんや太一君の力添えで黄金梅を実らせることが
できました。本当にありがとうございました」
「ありがとうございました」
感謝の気持ちを込めて言い切ると涼介もそれに合わせる形で
お辞儀した。
「え、あ、はい」
「やーね。そんなお礼なんていいのよ。水臭いわね」
困惑気味の太一の母と硬い空気のままこちらを横目に
野木崎がいやね、と笑いながら肩を叩く。
その気安さに、みのりはガチガチに固まっていた肩の力が
抜けていくのを感じた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|