Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





IA




(か、彼女……)


 みのりは恥ずかしさのあまり視線を彷徨わせた。

涼介も首元へ手をやり、照れくさそうにはにかんでいる。


「ど、どうも……」


 みのりが上がった体温を下げようと手で風を送っていると、

太一の母親が目を丸くしたのが見えた。


「梅宮! 梅宮ってあの梅宮?」

「はい。あの梅宮、です」


 涼介が肩を竦めながら頷く。信じられないものを見るかのような

太一の母に向かい、みのりは再度頭を下げた。


「初めまして、梅宮みのりと言います。

あの、野木崎さんや太一君の力添えで黄金梅を実らせることが

できました。本当にありがとうございました」

「ありがとうございました」


 感謝の気持ちを込めて言い切ると涼介もそれに合わせる形で

お辞儀した。


「え、あ、はい」

「やーね。そんなお礼なんていいのよ。水臭いわね」


 困惑気味の太一の母と硬い空気のままこちらを横目に

野木崎がいやね、と笑いながら肩を叩く。

その気安さに、みのりはガチガチに固まっていた肩の力が

抜けていくのを感じた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む