Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
三
IE
「野臥間さんのところへ行くの? それなら、よろしく伝えてください」
野木崎の言葉にみのりが頷く。
「わかりました」
「必ず」
涼介も力を込めて返答すると、太一の母親が野木崎へ視線を向けた。
「それじゃ、りっちゃん行きましょうか?」
「そうね。それじゃ、みのり様、梅畑君、またね」
軽く手を振り出口へと向かう野木崎と太一の母親へ、
涼介は笑顔で応じる。
「はい、また」
「はい。色々本当にありがとうございました」
もう一度2人で礼を述べると、
野木崎と太一の母親は笑顔で手を振ってくれた。
涼介は2人が去っていくのをしばし見送る。
小さくなっていく後ろ姿を確認した後、
今一度みのりへと視線を落とした。
「さて、何を買う? 野伏間さんは何が好きかな?」
問いかけると、みのりが頬に人差し指をあてる。
「そうねぇ。やっぱり洋菓子よりは和菓子の方がいいわよね」
そうか、和菓子か。涼介はしばし考え込み、
それから提案した。
「じゃあ、どら焼きなんてどうかな?」
「いいわね。どら焼きだったら太一君たちも食べられるわよね」
ぱっと花が咲いたような笑みを見せるみのりを前に鼓動が高鳴る。
「じゃあ、早速行こう!」
「ええ」
ここでかわいいな、と言ったら
繋がれた手が離されてしまうかもしれない。
涼介はむずむずする衝動をぐっと堪え、みのりの手を引いた。
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