Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
四
F
「まあ、お土産なんて。わざわざありがとうございます」
麗が丁寧にお辞儀をしてきて恐縮してしまう。
「お世話になったのはこちらのほうなので」
手を左右に振って応じると、邦夫がにかっと笑んだ。
「それじゃ遠慮なくいただくべ」
手もみしながら朔太郎とともにどら焼きの箱を開ける。
それから全員に中身を手渡すと、美味しそうに頬ばり始めた。
(いただきます)
内心で今一度感謝を込めて呟き、自分もどら焼きを口にする。
柔らかな甘みが口の中に広がり、
涼介は自分が少しだけ空腹を感じていたことに気がついた。
(うまい……)
夢中でどら焼きを食べ終わる。
だしてもらったお茶を一くち口に含んでいた時、
ふと肝心なことを思いだした。
「そういえば、
太一君たちは今どこに? こちらに伺っていると聞いたんですが……」
もう帰ってしまったのだろうか。
入れ違いは残念だ、と思っていると、朔太郎が庭を指さした。
「太一って子ならさっき庭で遊んでたべ」
「そうなんですか。じゃあ、失礼して、ちょっと呼んでみようかな」
もしかしたら案外敷地内で遊んでいるかもしれない。
涼介は立ち上がり、縁側へとでた。
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