Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





I




「あ、本当だ」


 涼介の指摘で初めて気づいたらしい。

翔が開いて手のひらを隠すように拳を作った。そして里夫と一緒に

肩を竦め合っている。


(仲がいいのね)


 人間である翔と獣人である里夫の親しげな雰囲気にみのりは心を

和ませた。おもむろに太一が感嘆な声を出す。


「お兄ちゃんよくわかったね。

リオに木登りの仕方を教わってたんだよ」


 そうなんだ、と感心した様子で相槌を打つ涼介に気分を良く

したのだろう。

太一が、仔犬が足元に纏わりつくようにはしゃぎ出す。


「太一、そんなことよりも手を先に洗いにいくぞ」


 里夫が翔を連れて歩き出した。太一はそのあとを慌てた様子で

追いかける。


「え、あ、待ってよー。お兄ちゃんあとでねー」


 走りながらも涼介へ向かって手を振る太一の愛らしさに、

みのりは自然と頬を緩めた。


(これだけ懐かれたら嬉しいわよね)

「うん、待ってるよ」


 みのりの予想通り、涼介は声を弾ませ去って行く太一たちを

見送った。


「涼介、太一君たちが戻るまで座って待ってましょ」


 みのりは子どもたちの姿が見えなくなるのを待ってから声を

かけた。










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