Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
四
I
「あ、本当だ」
涼介の指摘で初めて気づいたらしい。
翔が開いて手のひらを隠すように拳を作った。そして里夫と一緒に
肩を竦め合っている。
(仲がいいのね)
人間である翔と獣人である里夫の親しげな雰囲気にみのりは心を
和ませた。おもむろに太一が感嘆な声を出す。
「お兄ちゃんよくわかったね。
リオに木登りの仕方を教わってたんだよ」
そうなんだ、と感心した様子で相槌を打つ涼介に気分を良く
したのだろう。
太一が、仔犬が足元に纏わりつくようにはしゃぎ出す。
「太一、そんなことよりも手を先に洗いにいくぞ」
里夫が翔を連れて歩き出した。太一はそのあとを慌てた様子で
追いかける。
「え、あ、待ってよー。お兄ちゃんあとでねー」
走りながらも涼介へ向かって手を振る太一の愛らしさに、
みのりは自然と頬を緩めた。
(これだけ懐かれたら嬉しいわよね)
「うん、待ってるよ」
みのりの予想通り、涼介は声を弾ませ去って行く太一たちを
見送った。
「涼介、太一君たちが戻るまで座って待ってましょ」
みのりは子どもたちの姿が見えなくなるのを待ってから声を
かけた。
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