Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





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「そうだね。そうしようか」


 涼介が笑みを浮かべながら頷いた。

三長老と側近たちが座っている場所へ目を向ける。先ほどまで

自分が座っていた場所には、いつの間にか碧が座っていた。

紅はそのことに気づいていないのか、わき目もふらずに

どら焼きを食べている。それどころか元々テーブルに置かれていた

茶菓子にまで手を出そうとしていた。


「ありがとうございます」


 涼介が碧の隣に座りボソッと呟く。それに碧がにっこりと

ほほ笑んだ。


(碧ったら……

まあ涼介の隣に座れるのは嬉しいから別にいいけど)


 紅と碧の関係性も黄金梅の恩恵により変わり始めているの

だろうか。みのりはしずしずと涼介の隣を陣取りながら、

甲斐甲斐しく紅の世話をする碧を眺めた。そこへ野臥間が

どら焼きを2つ差し出してくる。


「みのり様も坊ちゃんも、どら焼き食うべ」

「ありがとうございます」


 涼介が代表で受け取り、当たり前のように包装紙を剥がした

ものを自分へと渡してくる。みのりは頬を染めながら礼を言い、

涼介から貰ったどら焼きを齧った。

しっとりとした生地の甘さとまったりとした餡の滑らかさを

味わっていると、おもむろに狼谷の称賛が木霊する。


「うんめぇべ、やっぱりどら焼きはアンコだべ」

「俺もそう思います」

「坊ちゃん、わかってるべ」


 涼介の同意を受け、狼谷が嬉しそうに笑った。それに鶯木が

首肯する。


「そうね。本当に美味しいわ。

邦ちゃんちに遊びに来ていてラッキーだったわね」


 鶯木がどら焼きを一口大に割りながら、ウィンクをした。










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