Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
一
E
「いいなぁ」
羨ましげなその声音に、涼介はみのりの孤独を思い知る。
「お嬢さま」
気遣わしげな紅の言葉に励まされ、涼介はみのりの手を取った。
「みのりさんには俺がいるだろう?」
みのりの顔を見つめ真剣に言葉を紡ぐ。
「涼介……」
ほんの少しだけ潤んだ瞳で見つめ返され、涼介は夢心地になる。
「みのりさん……」
握り締めた手を強くすると、紅が負けじとみのりの腕をとる。
「お嬢さま、私、いつも、一緒、いる」
バランスを崩され、握っていた手が滑り落ちた。
「そ、そうよね。嬉しいわ、紅」
一瞬で現実に引き戻されてしまった。
紅に向かい微笑むみのりを眺めながら、涼介はこっそり溜め息を吐く。
「さて、場所、移そうか」
「えぇ。……できたらひと気があまりない場所がいいのだけど、
そういうところある?」
改めて尋ねられ、涼介は微笑む。
「さっきも言ったけど、裏庭に池があるんだ。めったに人が来ないから
いい場所だと思うよ」
人払いしたいということは、それなりに重大な話なのだろう。
「じゃあ、そこで」
神妙な面持ちで頷くみのりを見つめ、黄金梅がらみかな、と考える。
もしかしたら、美都子の容態についての話なのかもしれない。
(それならあの場所はおあつらえ向きだよな)
一人納得して、手で方角を指し示す。
「こっちだよ」
ついて来て、との意を含めながら涼介は歩きだした。
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