Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
四
IC
「3人ともおかえり!」
「ただいまー」
子供たちが異口同音に答える。
「お兄ちゃん、どら焼きまだある?」
座卓に手を置き待ちかねたように身を乗りだしてくる太一へ、
涼介はどら焼きを差しだした。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
太一が手早く翔と里夫へどら焼きを回すと、
受け取った2人は即座に包みを開けた。
「いっただきまーす」
「うまっ」
秒単位で感想を叫ぶ里夫が微笑ましく、涼介は軽く吹きだす。
だが、同時に重要なことを思いだした。
「太一君、お祖母さんはどうしてる? お元気なのかな?」
先ほど太一の母親から聞いてはいたが、気になっていた。
本当に太一の祖母は元気になってくれたのだろうか、と。
しかしそんな不安など物ともせず、
どや焼きに齧りついていた太一が大きく頷いた。
「うん! 写真見せたらすっごく喜んでくれた」
太一の言葉に涼介の心は軽くなる。
あの頑なだった人が喜んでくれたのか。
そう思うと小躍りしたい気分になった。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|