Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
四
ID
「本当かい?! それはよかった!」
「良かったわね、太一君」
叫ぶ自分とは対照的に、みのりが柔らかな声で太一へ話しかける。
涼介は彼女の言葉に便乗して、さらに質問を重ねた。
「花びらも喜んでくれたのかな?」
「うん。花びらはね、袋を作って写真と一緒に仏壇に飾ってあるんだ」
どら焼きを食べ終わった太一が誇らしげに胸を張るのを見て、
胸の奥がじんわりと暖かくなるのを自覚した。
「そうかあ! よかった……。本当によかった……」
しみじみと喜びを噛み締めていると、邦夫がおもむろに口を開いた。
「それだけじゃねぇべ。太一君のお祖母さんから手紙をもらったべ」
邦夫の思いもかけない言葉に涼介は一瞬話が理解できず固まる。
「え? そうなんですか?」
身を乗り出すみのりの手に釣られやっとのことで覚醒した涼介は、
驚きのままに声をあげた。
「お手紙ですか?!」
自然、声が裏返ってしまう。
(だって、あれだけ嫌ってたのに……)
嫌う理由だって深くて重たい理由があった。
それを乗り越え手紙まで書く気になったなんて。
(黄金梅って……)
皆で願ってから少しずつだが確実に、何かが変わりつつある。
それを改めて感じずにはいられない。
涼介はもう一度座布団に座しながら、深く吐息した。
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