Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





ID




「本当かい?! それはよかった!」

「良かったわね、太一君」


 叫ぶ自分とは対照的に、みのりが柔らかな声で太一へ話しかける。

涼介は彼女の言葉に便乗して、さらに質問を重ねた。


「花びらも喜んでくれたのかな?」

「うん。花びらはね、袋を作って写真と一緒に仏壇に飾ってあるんだ」


 どら焼きを食べ終わった太一が誇らしげに胸を張るのを見て、

胸の奥がじんわりと暖かくなるのを自覚した。


「そうかあ! よかった……。本当によかった……」


 しみじみと喜びを噛み締めていると、邦夫がおもむろに口を開いた。


「それだけじゃねぇべ。太一君のお祖母さんから手紙をもらったべ」


 邦夫の思いもかけない言葉に涼介は一瞬話が理解できず固まる。


「え? そうなんですか?」


 身を乗り出すみのりの手に釣られやっとのことで覚醒した涼介は、

驚きのままに声をあげた。


「お手紙ですか?!」


 自然、声が裏返ってしまう。


(だって、あれだけ嫌ってたのに……)


 嫌う理由だって深くて重たい理由があった。
それを乗り越え手紙まで書く気になったなんて。


(黄金梅って……)


 皆で願ってから少しずつだが確実に、何かが変わりつつある。

それを改めて感じずにはいられない。

涼介はもう一度座布団に座しながら、深く吐息した。










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