Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





IH




「わーい。やったー。里夫も僕たちのチームだからね」

「お、ぉう」


 太一があたり前のように里夫を勧誘する。それに対し、里夫は

戸惑いながらも嬉しそうに首肯した。


(これからこういう景色が当たり前になるのね)


 みのりが少年たちを微笑ましく見つめていると、おもむろに

足音が聞こえてくる。


「邪魔すんぜー」

「お邪魔します」


 満が襖を無遠慮に開くと、彼の後ろから小越がおずおずと頭を

下げた。狼谷がニヤニヤとした顔で迎え入れる。


「おうおう、えらそうだんべ。いっしょまえに、かっこつけてるべ」

「遠慮せんと、へぇんべ、へぇんべ」


 恐縮している小越を野臥間が部屋へ招き入れた。


「ありがとうございます。――あら、梅宮さん!」

「先生、満さん、こんにちわ」


 自分たちがいるなどまったく想像していなかったのだろう。

目を丸くする小越へみのりは笑いかけた。すると彼女の顔がボッと

赤く染まる。


「こ、ここここんにちは……」

「げっ、んだよ。ここは集会所かなにかかよ」


 満が驚いた様子で文句を言った。たしかに普段より明らかに

人口密度が高いのだから彼の言い分もわかる。


「その節は大変お世話になりました。

これどら焼きなんですけど、食べてください」


 涼介がなかなか座ろうとしない満へどら焼きを差し出した。

みのりも彼に便乗して小越に話しかける。


「先生、おめでとうございます」

「あ、え、え、ええ。ええっと……ありがとう……」

「けっ、俺はなんもしてねーよ」


 小越が赤くなっていた顔をさらに赤く染める。その横で満が

涼介からどら焼きを奪い取り、むしゃむしゃ食べ始めた。










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