Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
四
AIA
あの頑固おやじがどら焼き好きだったとは。
「そうなんですか! 甘党だったとは思わなかったなあ」
てっきり酒の肴のほうが好みだと思っていた。
(今度改めて買いに行こうと思ってたけど、それなら今日ご挨拶に
行っても良さげだ)
まだ残っているどら焼きの包みを眺めながら、内心で呟いた。
「前に来たとき、娘さんと一緒にうまそうに食ってたべ」
邦夫の言葉に涼介はへーと声をあげる。
芽衣子さんも甘い物に目がないのか。
それなら話は早い。問題は飛田だが……。
(芽衣子さんに呼びだしてもらうって言っても、再就職先探してる最中だから
大変かもしれないしなあ……)
顎に手をあてていると、獣人の長、満が口を開いた。
「そういえば最近見かけねーけど、正志のやつどうしたんよ?」
まさに訊きたいと思っていたことだ。
涼介は胸の内で尋ねてくれた満に感謝する。
「あー、正志なら山波さんちだべ」
「ええ?!」
のんびりと茶を啜りつつ答える朔太郎の言葉に、
涼介はまたしても仰天した。
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