Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
一
F
涼介のあとについて、建物と木々の間を縫うように歩く。
学生たちは思いおもいに休憩を楽しんでいるようだ。
その姿がだんだんと見あたらなくなった頃、ぽっかりと開けた
場所にたどり着いた。
みのりは涼介を呼び出した緊張も忘れ、池へ近づく。
「思っていたよりも大きな池ね」
「すごい」
池とはいっても小さなものを想像していたのだが、小船程度なら
ゆうに浮かすことができそうだ。
みのりが池の周りを囲む柵へ手をかけると、隣に紅がきた。
その反対隣に涼介が立つ。
「一応鯉がいるみたいだよ。見えないけど」
涼介の声に顔を上げる。
すぐそばに彼の顔があり、みのりは頬を染めた。
「へ、へぇ、鯉が……」
恥ずかしさから目線を落とす。
紅が緑の藻で覆われている池を覗き込んでいた。
「見えるかい?」
涼介が紅へ笑いかけながら訊いた。しかし彼女はその問いかけには
応えず、涼介と距離を取らせようと腕を引っ張ってくる。
やきもちを焼いたのだろう。
好きな人が他の女性の近くにいるのは見たくない。
みのりは紅の気持ちが痛いほどわかった。
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