Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
五
C
「そんなところにいないであがってください。
今お父さん呼んできますから! お母さん、あとよろしくね!」
母親に声をかけたかと思うと、玄関にあったツッカケを履いて外へでてしまう。
「あ、お忙しいようだったらお構いなくって、行っちゃった……」
隣の小屋へ向かう後ろ姿を見送りつつ、みのりが肩を落とした。
「ああいう子ですから。――どうぞ、皆さん。お上がりくださいな」
山波の妻がのんびりした声で軽く言い訳した後、
家の中へと誘った。
「お邪魔します」
涼介はみのりとともに一礼し、廊下へと足を踏み入れる。
ほぼ同時に紅も頭をさげ、屋内へと入った。
「失礼します」
最後に碧が告げると、和子が改めて頬を緩める。
突然の来客にも関わらず、特に迷惑がってはいないようだった。
慣れているのだろうか。
(家が職場ってことはこういうことも多いのかもなあ)
などと考えていると、山波の妻が廊下の奥へと招いてくれる。
「どうぞどうぞ」
まもなく庭が見える卓袱台とテレビのある部屋へ通され、
涼介は恐縮しながら用意された座布団へと座った。
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