Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





E




「お口に合うといいのですが皆さんで召し上がってください」


 みのりは脇に置いておいたどら焼きを机の上へ出した。

それを見て、襖へ向かっていた和子が戻ってくる。


「あらあら、まあまあ。すみませんねえ。こんな大層なものを」


 和子が向かい側に座り、どら焼きが入った箱を引き寄せると同時に

ドタドタという足音が聞こえてくる。


「和子ぉ! みのり様がいらしてるって?!

 ってお前、何やってる!」

「山波さん。お邪魔しています」


 実に山波らしい登場の仕方だ。みのりは自然と顔を綻ばせた。

挨拶すると、山波が頭に巻いていたタオルを剥ぎ取り

和子の隣に正座する。


「なんともったいない! ご無沙汰しておりますみのり様!

ですがこれは受け取れません! お持ち帰りください!」


 言うや、山波たち側にあったどら焼き入りの箱がこちらに戻される。


「いえ、これはお世話になった気持ちなので」


 みのりは膝立になり、菓子箱を再度、山波たちへ押し返した。

だが、山波は素直に受け取ろうとしない。

和子が困り顔で肩を竦めていた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む