Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
五
E
「お口に合うといいのですが皆さんで召し上がってください」
みのりは脇に置いておいたどら焼きを机の上へ出した。
それを見て、襖へ向かっていた和子が戻ってくる。
「あらあら、まあまあ。すみませんねえ。こんな大層なものを」
和子が向かい側に座り、どら焼きが入った箱を引き寄せると同時に
ドタドタという足音が聞こえてくる。
「和子ぉ! みのり様がいらしてるって?!
ってお前、何やってる!」
「山波さん。お邪魔しています」
実に山波らしい登場の仕方だ。みのりは自然と顔を綻ばせた。
挨拶すると、山波が頭に巻いていたタオルを剥ぎ取り
和子の隣に正座する。
「なんともったいない! ご無沙汰しておりますみのり様!
ですがこれは受け取れません! お持ち帰りください!」
言うや、山波たち側にあったどら焼き入りの箱がこちらに戻される。
「いえ、これはお世話になった気持ちなので」
みのりは膝立になり、菓子箱を再度、山波たちへ押し返した。
だが、山波は素直に受け取ろうとしない。
和子が困り顔で肩を竦めていた。
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