Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





F




(さすが山波さんね。やっぱり一筋縄でいかないわ)


 どうしたら受け取ってくれるだろうか。

みのりは箱を押さえながら考え込む。

すると、飛田と一緒になってあとから入ってきた芽衣子が口を挟んだ。


「お父さん! そっちのほうが失礼よ!」


 芽衣子に諌められ、山波が声をあげる。


「失礼とはなんだ失礼とは!」


 山波の視線が芽衣子へと移った。

みのりはその隙に、どら焼きの箱を山波側へと押しやる。

芽衣子がその箱を持ちあげた。


「だからこれはみのり様のお気持ちなんですって!」

「そうですよ、山波さん。

ここはお嬢様と涼介君の顔を立てると思ってお納めください」


 芽衣子の言葉に碧が追従した。側近の声に冷静になったのだろうか。

怒りで赤らめていた山波の顔色が元に戻った。

飛田にもそれがわかったのかもしれない。山波へ話しかける。


「僕も芽衣子ちゃんのほうが正しいと思いますよ、お義父……

オヤっさん……」

「むむう……」


 山波は口を一文字に結んで唸った。

そして芽衣子の持ったどら焼きの箱を睨みつける。


「どら焼き、最高」


 紅の呟きに、山波の眉がぴくりとあがった。










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