Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
五
F
(さすが山波さんね。やっぱり一筋縄でいかないわ)
どうしたら受け取ってくれるだろうか。
みのりは箱を押さえながら考え込む。
すると、飛田と一緒になってあとから入ってきた芽衣子が口を挟んだ。
「お父さん! そっちのほうが失礼よ!」
芽衣子に諌められ、山波が声をあげる。
「失礼とはなんだ失礼とは!」
山波の視線が芽衣子へと移った。
みのりはその隙に、どら焼きの箱を山波側へと押しやる。
芽衣子がその箱を持ちあげた。
「だからこれはみのり様のお気持ちなんですって!」
「そうですよ、山波さん。
ここはお嬢様と涼介君の顔を立てると思ってお納めください」
芽衣子の言葉に碧が追従した。側近の声に冷静になったのだろうか。
怒りで赤らめていた山波の顔色が元に戻った。
飛田にもそれがわかったのかもしれない。山波へ話しかける。
「僕も芽衣子ちゃんのほうが正しいと思いますよ、お義父……
オヤっさん……」
「むむう……」
山波は口を一文字に結んで唸った。
そして芽衣子の持ったどら焼きの箱を睨みつける。
「どら焼き、最高」
紅の呟きに、山波の眉がぴくりとあがった。
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