Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





H




「ありがとうございます」


 山波とわかり合うことができている。

それが嬉しくて涼介は万感の思いを込めて一礼した。

すると、山波がゆるゆるとかぶりを振る。


「お礼を言うのはこちらのほうです。本当にありがとうございます。

みのり様がた」


 感謝の眼差しを向けてくる山波に、みのりが微笑む。


「いえ。本当に山波さんにはお世話になりましたから」

「却って気を遣わせてしまって申し訳ありません」


 お辞儀をする碧を前にして、山波が口の端に笑みを浮かべた。


「いいえ。どら焼きは好物ですから。ありがたく頂戴いたします」


 恭しく手に取ったどら焼きの包みを取り、齧りつく。


「改めてお礼を言わせてください。色々とありがとうございました」


 美味そうにどら焼きを頬張る山波へ、みのりが今一度礼を告げた。

最後のどら焼きを口に含んでいた山波は、驚いたように姿勢を低くする。


「そんな! もったいないお言葉!

この山波、一度はみのり様を裏切った身であるにも関わらず、

なんとお優しい……」


 顔が伏せられているのでよくは見えないが落涙しているらしく、

鼻を啜る音が聞えてきた。










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