Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
五
H
「ありがとうございます」
山波とわかり合うことができている。
それが嬉しくて涼介は万感の思いを込めて一礼した。
すると、山波がゆるゆるとかぶりを振る。
「お礼を言うのはこちらのほうです。本当にありがとうございます。
みのり様がた」
感謝の眼差しを向けてくる山波に、みのりが微笑む。
「いえ。本当に山波さんにはお世話になりましたから」
「却って気を遣わせてしまって申し訳ありません」
お辞儀をする碧を前にして、山波が口の端に笑みを浮かべた。
「いいえ。どら焼きは好物ですから。ありがたく頂戴いたします」
恭しく手に取ったどら焼きの包みを取り、齧りつく。
「改めてお礼を言わせてください。色々とありがとうございました」
美味そうにどら焼きを頬張る山波へ、みのりが今一度礼を告げた。
最後のどら焼きを口に含んでいた山波は、驚いたように姿勢を低くする。
「そんな! もったいないお言葉!
この山波、一度はみのり様を裏切った身であるにも関わらず、
なんとお優しい……」
顔が伏せられているのでよくは見えないが落涙しているらしく、
鼻を啜る音が聞えてきた。
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