Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





IA




 みのりは芽衣子の左手の薬指にキラリと光る指輪を見つけた。

 銀色に輝く細いラインの中央に1粒のダイヤモンドが煌めいて

いる。芽衣子の細くて長い指にとてもよく似合っていた。


「あら? その指輪。もしかして?」

「は、はい! 正式に申し込ませていただきました!」


 飛田が背筋をピンッと伸ばし宣言した。


(これが元営業マンの力……)


 みのりは飛田の声と姿勢で気持ちを前面に出してくる姿に圧倒

された。だが芽衣子はそんな飛田にためらうことなく、

上半身すべてを使い彼をどつく。


「やだ! 正志君ってばそんな大げさに!」

(私もいつか、もらえるかしら)


 みのりは、いちゃいちゃし始める飛田と芽衣子を眺めながら

夢想した。おもむろに涼介が声をあげる。


「ってことは、飛田さんは婿養子さんですか?」

「わぁ! それはおめでとうございます」

「ええと、そういうことに、なる……のかなあ……?」


 みのりが手を叩いて喜ぶと、飛田が照れくさそうに頭へ手を

やった。


「鹿さん」


 紅なりの祝いの言葉なのだろう。

飛田の名を呼んだあと紅は無言のまま、彼らへ親指を立てて見せた。










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