Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
五
IA
みのりは芽衣子の左手の薬指にキラリと光る指輪を見つけた。
銀色に輝く細いラインの中央に1粒のダイヤモンドが煌めいて
いる。芽衣子の細くて長い指にとてもよく似合っていた。
「あら? その指輪。もしかして?」
「は、はい! 正式に申し込ませていただきました!」
飛田が背筋をピンッと伸ばし宣言した。
(これが元営業マンの力……)
みのりは飛田の声と姿勢で気持ちを前面に出してくる姿に圧倒
された。だが芽衣子はそんな飛田にためらうことなく、
上半身すべてを使い彼をどつく。
「やだ! 正志君ってばそんな大げさに!」
(私もいつか、もらえるかしら)
みのりは、いちゃいちゃし始める飛田と芽衣子を眺めながら
夢想した。おもむろに涼介が声をあげる。
「ってことは、飛田さんは婿養子さんですか?」
「わぁ! それはおめでとうございます」
「ええと、そういうことに、なる……のかなあ……?」
みのりが手を叩いて喜ぶと、飛田が照れくさそうに頭へ手を
やった。
「鹿さん」
紅なりの祝いの言葉なのだろう。
飛田の名を呼んだあと紅は無言のまま、彼らへ親指を立てて見せた。
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