Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
六
B
「何かあったんですか?」
みのりが心配げに尋ねると、
山波が今度は決まり悪げに後ろ頭へ手をやった。
「いや、前にも一度説明したかもしれないんですが、
あの種は会長からの預かり物だったんですよ。それを勝手に
娘が植えてしまいましてね」
「そういえば、そんなことをおっしゃっていましたね」
碧が小さく手を打ち、みのりがああ、と頷く。
涼介は初めて聞く話に1人驚き目を瞠った。
(植えたのは芽衣子さんなのに、黄金梅が選んだのは
父親の山波さんだったのか)
つくづく縁とは不思議なものだ。
涼介は小さく唸って顎に手をあてた。
「でも会長さんそのことを怒ったんじゃないんですよ。
どういうわけかわからないんですが、飛田君に優しくしろって
おっしゃったんです」
1人唸っているその前で、話はどんどん展開していく。
(「どういうわけか」ってなんなんだ?)
そういうことを言う人物ではなかった、ということだろうか。
疑問はさらに深くなる。
「会長さんはうちに跡継ぎができたことを喜んでいらっしゃったんですよぉ」
「い、いやあ」
のんびりとした口調で山波の妻が言うと、飛田が照れたように自身の髪を撫でた。
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