Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





C




「けっ!」


 もはやお決まりの如くそっぽを向く山波だが、顔がどことなく

緩んでいるのが見てとれる。


「会長さんはお優しい方なんですね」


 みのりが感想を総括すると、山波がうーんと、首をかしげた。


「優しいというより、人が変わったというか……」


 やはり今までの性格からは想像のつかない言動だったようだ。


(『黄金梅の実を守る会』は典型的な鎖国派だったはずだもんな)


 現当主派だから獣人との距離は取るべきだし、

都との交流も断っておきたいと考える人間の集まりだ。

山波だってつい最近まで同じ考えをしていたのだから。

当たり前と言えば当たり前だろう。


(それが変わったってことは……)


 涼介は真相を確信して、口火を切った。


「黄金梅のお陰かもしれないですね」


 すると、みのりも予想していたのか、嬉しげにこちらを見あげてきた。


「黄金梅の恩恵はいろんなところで広まっているのね」


 曇りのない真っ直ぐな瞳で告げてくる言葉に笑顔で応じる。

みのりの言葉に思うところがあったのだろうか。山波が呟いた。


「黄金梅の……」


 しみじみとした呟きを聞きながら、

涼介は今朝の兄たちとの団らんを思いだしていた。










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