Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
六
C
「けっ!」
もはやお決まりの如くそっぽを向く山波だが、顔がどことなく
緩んでいるのが見てとれる。
「会長さんはお優しい方なんですね」
みのりが感想を総括すると、山波がうーんと、首をかしげた。
「優しいというより、人が変わったというか……」
やはり今までの性格からは想像のつかない言動だったようだ。
(『黄金梅の実を守る会』は典型的な鎖国派だったはずだもんな)
現当主派だから獣人との距離は取るべきだし、
都との交流も断っておきたいと考える人間の集まりだ。
山波だってつい最近まで同じ考えをしていたのだから。
当たり前と言えば当たり前だろう。
(それが変わったってことは……)
涼介は真相を確信して、口火を切った。
「黄金梅のお陰かもしれないですね」
すると、みのりも予想していたのか、嬉しげにこちらを見あげてきた。
「黄金梅の恩恵はいろんなところで広まっているのね」
曇りのない真っ直ぐな瞳で告げてくる言葉に笑顔で応じる。
みのりの言葉に思うところがあったのだろうか。山波が呟いた。
「黄金梅の……」
しみじみとした呟きを聞きながら、
涼介は今朝の兄たちとの団らんを思いだしていた。
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