Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
六
F
山波家を去り、車まで移動する。
みのりはいつものように後部座席に座った。そのあとに涼介が
続こうとしたが、先に紅が後部座席へ入ってくる。
(涼介とは一緒に座れないんだ)
自分を護衛するためには紅がそばを離れるわけにはいかない。
それは分かっている。だが、涼介が隣に座ると思い込んでいた分、
一緒に座れないと分かると少し寂しかった。
「さて、と……。
用事も済んだことだし、そろそろファミレスにアイスでも食べに
行こうか?」
助手席に移動した涼介が気を取り直すように明るめの声を出した。
(席が隣じゃなくたって一緒にいられるんだから。
気にしない、気にしない)
みのりは気持ちを切り替え、涼介の話に乗った。
「いいわね。どうせだったら前に行った場所がいいわ」
あそこは初めて行った思い出の場所だ。
みのりが言外に伝えると、涼介がバックミラー越しに微笑んだ。
「ああ、市役所近くのトニーズか。いいね。行こうか」
「わかりました。では、その場所へ向かいますね」
「すみません。よろしくお願いします」
涼介が碧へ向かって頭を下げた。
滑らかにスピードがあがる。あとは到着を待つばかりだ。
みのりは背もたれにもたれ、これから向かうレストランを思い浮かべた。
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