Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





F




 山波家を去り、車まで移動する。

みのりはいつものように後部座席に座った。そのあとに涼介が

続こうとしたが、先に紅が後部座席へ入ってくる。


(涼介とは一緒に座れないんだ)


 自分を護衛するためには紅がそばを離れるわけにはいかない。

それは分かっている。だが、涼介が隣に座ると思い込んでいた分、

一緒に座れないと分かると少し寂しかった。


「さて、と……。

用事も済んだことだし、そろそろファミレスにアイスでも食べに

行こうか?」


 助手席に移動した涼介が気を取り直すように明るめの声を出した。


(席が隣じゃなくたって一緒にいられるんだから。

気にしない、気にしない)


 みのりは気持ちを切り替え、涼介の話に乗った。


「いいわね。どうせだったら前に行った場所がいいわ」


 あそこは初めて行った思い出の場所だ。

みのりが言外に伝えると、涼介がバックミラー越しに微笑んだ。


「ああ、市役所近くのトニーズか。いいね。行こうか」

「わかりました。では、その場所へ向かいますね」

「すみません。よろしくお願いします」


 涼介が碧へ向かって頭を下げた。

 滑らかにスピードがあがる。あとは到着を待つばかりだ。

みのりは背もたれにもたれ、これから向かうレストランを思い浮かべた。










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