Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
六
H
「ちょっと、急に何を言うのよ、碧」
みのりは焦った。
涼介が気分を害してしてまったらどうしてくれるのだ。
バックミラーに映る碧を睨みつける。しかしこちらの心配は杞憂に
終わった。
「大丈夫です。覚悟はできています」
落ち着いた様子で語る涼介に、みのりは胸が熱くなった。
潤みそうになる瞳をまばたきで誤魔化しながら涼介を見る。
「涼介。ありがとう」
「俺が好きになったのは梅宮みのりなんだから。
気にしなくていいよ」
涼介がミラー越しではなく、わざわざ体をひねり伝えてきた。
まっすぐこちらを見つめてくる眼差しが、その場しのぎの言葉ではなく
本心だと分かった。
(かっこいい)
みのりがうっとり涼介を見つめていると、その空気を壊すように
碧が声をあげる。
「いやー。なんだから急に暑くなりましたねー。ちょうどいい。
僕もアイスを頼むことにしましょうかね」
からかいめいた碧の言葉とともに車が減速する。
窓へ目線を移すと、トニーズと書かれた看板が見えた。
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