Gold Plum





最終章


再生


〜みのり&涼介の場合〜





H




「ちょっと、急に何を言うのよ、碧」


 みのりは焦った。

涼介が気分を害してしてまったらどうしてくれるのだ。

バックミラーに映る碧を睨みつける。しかしこちらの心配は杞憂に

終わった。


「大丈夫です。覚悟はできています」


 落ち着いた様子で語る涼介に、みのりは胸が熱くなった。

潤みそうになる瞳をまばたきで誤魔化しながら涼介を見る。


「涼介。ありがとう」

「俺が好きになったのは梅宮みのりなんだから。

気にしなくていいよ」


 涼介がミラー越しではなく、わざわざ体をひねり伝えてきた。

まっすぐこちらを見つめてくる眼差しが、その場しのぎの言葉ではなく

本心だと分かった。


(かっこいい)


 みのりがうっとり涼介を見つめていると、その空気を壊すように

碧が声をあげる。


「いやー。なんだから急に暑くなりましたねー。ちょうどいい。

僕もアイスを頼むことにしましょうかね」


 からかいめいた碧の言葉とともに車が減速する。

窓へ目線を移すと、トニーズと書かれた看板が見えた。










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