Gold Plum
最終章
再生
〜みのり&涼介の場合〜
六
I
「あ、ここのアイス本当に美味しいですよ 碧さん」
碧へ話しかけるのとほぼ同時に、紅がみのりの手を取った。
「お嬢さま、行こ」
「わ、わかったわ。だからそんなに引っ張らないで紅」
ぐいぐいと手を引かれ、みのりが戸惑ったような声あげる。
「あ、ちょっとま……」
涼介が慌てて追いかけたそのときだった。
「あれ?」
対向車線の歩道に、見覚えのある顔を見つけ立ち止まる。
背の高い眼鏡姿の男性と車椅子に乗った年配の女性だ。
様子を窺っていると、みのりが走り寄ってきた。
「どうしたの?」
側にやってきたみのりが見あげてくる。
涼介は視線を外さぬまま顎で歩道を示して見せた。
「あれって、高松……さん、じゃないかな? ほら、道の向こう側」
みのりがえ、と驚き、視線を移す。
「あ、本当だわ」
口に手をあて目をしばたたかせるみのりに、涼介は再度尋ねた。
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