スイーツ娘、村へ帰る。



第二章





「だいたい自分が作ったものは人に食べさせる前に味見してみるのが

礼儀だろ!」

 テーブルに置かれたスイカクッキーを指さし、

クロナががなり立ててくる。

アローナは小さく息を吐き、

クロナに落ちついてもらうため微笑んだ。

「嫌なものは嫌なのよ。

第一それじゃあ味の冒険ができなくなっちゃうじゃない」

 肩をすくめておどけると、クロナが右足をどん、と鳴らした。

「そんなの知らないよ!」

 首を激しく左右に振り乱し、うわあ、と叫ぶ。

「もうあったまきた! 僕はアローナに勝負を申し込む!」

 決闘だ、とクロナが指を突き刺してきて、アローナは目を瞬いた。

「勝負ですって!?」

「僕が勝ったら金輪際味見役はやらないからね!」

 いきなりすぎる戦線布告なうえ、許しがたい要求まで宣言してくる。

(クロナのくせに生意気よ!)

 それならこちらにも考えがある。

アローナは足を肩幅に広げ踏ん反り返って見せた。

「いいわよ! 受けて立とうじゃない!」

「言ったからね! 逃げるなよ!」

「あったり前でしょ! 誰に言ってるのよ!」

 三白眼で見てくるクロナを前に仁王立ちしていると、

クロナがイルミラを呼んだ。










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