スイーツ娘、村へ帰る。



第二章





「イルミラ!」

「は、はい! なんでしょう?」

 口を挟めずもじもじとしていたイルミラが返答すると、

クロナがイルミラへ尋ねる。

「悪いんだけど、しばらく君の家に泊めてくれないかな?」

「え!」

 クロナの提案を聞いたイルミラの頬が一瞬にして朱に染まる。

「ダメかな?」

 首をかしげて問いかけられ、イルミラがブンブンとかぶりを振った。

「いえ! いいえ! ぜひ来てくださいませ! 歓迎いたしますわ!」

 イルミラが瞳を輝かせると、クロナが満足げに微笑む。

「ありがとう」

 嬉しそうに見つめ合う二人の会話にアローナは口を挟んだ。

「ちょっとクロナ!」

 文句を言おうと一歩踏み出すと、クロナが冷たい目を向けてくる。

「そういうわけで僕しばらく帰らないから」

「はあ? 何を言って……」

 何がそういうわけなのだ。

意味がわからない、と再び口を開こうとするが、

先にクロナが踵を返してしまう。

「行こう、イルミラ!」

「あ、はい!」

 ずんずんと庭をでていくクロナを前に呆然としていると、

返事をしたイルミラが小さく一礼してクロナの後を追った。

「なんなのよ、いったい……」

 アローナは誰もいなくなった庭で、ぽつりと呟いた。










一つ前を読む   小説の部屋へ戻る   次を読む






QLOOKアクセス解析