スイーツ娘、村へ帰る。
第三章
6
「カリナさん! よかった、会えて!」
アローナが走り寄ると、カリナが首をかしげる。
「もしかして、クルミ?」
「はい。あったら分けて欲しいなって思って……。
もう売り切れちゃってますか?」
諦め半分で尋ねてみると、カリナが頷いた。
「ええ。今日入荷した分はもう全部でちゃってて。
でも、明後日にはまた入荷するわよ」
「明後日かあ。間に合うかもしれないけど、でもちょっとギリギリかも……」
カリナからの情報にアローナは唸る。
間に合わないわけではないが、
失敗しないように作るにはそれなりに練習しないとならない。
「それってクロナ君との勝負のこと?」
カリナに問われアローナは顔をあげた。
「あ、やっぱり知ってました?」
「イルミラちゃんのお屋敷の人が来て話してくれたから。
で、もうお菓子は何を作るか決まったの?」
カリナの質問にアローナはかぶりを振る。
「それがさっぱりで……。
クロナのほうはもう決まってるのかしら?」
問い返してみると、カリナが残念そうに眉根を寄せた。
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