スイーツ娘、村へ帰る。



第四章





「それで? あなたはどうしたいの?」

 カリナの問いかけにアローナは息を呑む。

もう結論はでているが、口にするのはためらわれた。

(カリナさんってすごいな……)

 こちらが考えていることなどとっくにお見通しなのだろう。

つまりは、誤魔化しても無駄だということだ。

アローナは一つ大きく首を縦に振ると、正直な気持ちを語ってみた。

「最初は腹が立ってたんですけど、

あたしがお菓子作りで無茶をやれるのはクロナのおかげだった

ってわかったから。許してもらえるかわからないけど、

今はその無茶を素直に謝りたいです」

一気に心の内を告げるとカリナが目を細める。

「そう。なら、勝つしかないわね」

「はい。そのつもりです」

「がんばってね」

「ありがとうございます」

 短い言葉だが温かみがある。

数年前に亡くなってしまった母がもし存命だったら、

こんな感じの会話をしているだろうか。

カリナに母の面影を重ねていると、カリナが小さく手を打つ。

「そういえば、うちにも古いお菓子辞典があるんだけど、

よかったら見ていく?」

「ぜひ!」

 アローナはカリナの申し出に一も二もなく飛びついた。










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