スイーツ娘、村へ帰る。
第四章
6
「それで? あなたはどうしたいの?」
カリナの問いかけにアローナは息を呑む。
もう結論はでているが、口にするのはためらわれた。
(カリナさんってすごいな……)
こちらが考えていることなどとっくにお見通しなのだろう。
つまりは、誤魔化しても無駄だということだ。
アローナは一つ大きく首を縦に振ると、正直な気持ちを語ってみた。
「最初は腹が立ってたんですけど、
あたしがお菓子作りで無茶をやれるのはクロナのおかげだった
ってわかったから。許してもらえるかわからないけど、
今はその無茶を素直に謝りたいです」
一気に心の内を告げるとカリナが目を細める。
「そう。なら、勝つしかないわね」
「はい。そのつもりです」
「がんばってね」
「ありがとうございます」
短い言葉だが温かみがある。
数年前に亡くなってしまった母がもし存命だったら、
こんな感じの会話をしているだろうか。
カリナに母の面影を重ねていると、カリナが小さく手を打つ。
「そういえば、うちにも古いお菓子辞典があるんだけど、
よかったら見ていく?」
「ぜひ!」
アローナはカリナの申し出に一も二もなく飛びついた。
一つ前を読む 小説の部屋へ戻る 次を読む
|