スイーツ娘、村へ帰る。



第四章





「『タルトノア』?

ええっと、何なに? クルミ、ナッツを使ったタルト……」

 「タルトノア」とはどうやらクルミのタルトというだけでなく、

木の実をたくさん使ったタルトということらしい。

アローナはレシピを熟読する。

それはタルトの底にフランボワーズのジャムを塗り、

クルミやアーモンドなどの木の実とカラメルクリームを絡めて流し込んだ後、

焼いたお菓子だという。

「へー! これ面白いかも!」

「あら、見つかった?」

 顔をあげて感嘆すると、カリナが机に紅茶を置いて身を乗りだしてきた。

「はい。タルトノアって言うんだそうです」

 アローナは今読んだばかりのレシピを解説する。

「作れそう?」

 カリナに問われ、アローナは首をかしげた。

「それはまだわかんないけど……。でも、思ったんですけど、

このフランボワーズのジャムを洋梨にしてみたらどうかなって」

「あら、それは美味しそうね!」

 アローナの思いつきにカリナが手叩く。

「まだやってみないとだけど、ジャムなら洋梨のクセとクルミの灰汁っぽさとが

ちょうどよく合うんじゃないかと思うんです」

「確かにそうかも。じゃあ他にもナッツが必要よね」

 顎に手をあてて考え込むカリナにアローナは問いかける。

「ありますか?」

「あるだけかき集めてみるわ」

「ありがとうございます!」

 アローナはいたずらっぽい笑みで返してくるカリナへ、満面の笑みで答えた。










一つ前を読む   小説の部屋へ戻る   次を読む






QLOOKアクセス解析