スイーツ娘、村へ帰る。
第四章
8
「『タルトノア』?
ええっと、何なに? クルミ、ナッツを使ったタルト……」
「タルトノア」とはどうやらクルミのタルトというだけでなく、
木の実をたくさん使ったタルトということらしい。
アローナはレシピを熟読する。
それはタルトの底にフランボワーズのジャムを塗り、
クルミやアーモンドなどの木の実とカラメルクリームを絡めて流し込んだ後、
焼いたお菓子だという。
「へー! これ面白いかも!」
「あら、見つかった?」
顔をあげて感嘆すると、カリナが机に紅茶を置いて身を乗りだしてきた。
「はい。タルトノアって言うんだそうです」
アローナは今読んだばかりのレシピを解説する。
「作れそう?」
カリナに問われ、アローナは首をかしげた。
「それはまだわかんないけど……。でも、思ったんですけど、
このフランボワーズのジャムを洋梨にしてみたらどうかなって」
「あら、それは美味しそうね!」
アローナの思いつきにカリナが手叩く。
「まだやってみないとだけど、ジャムなら洋梨のクセとクルミの灰汁っぽさとが
ちょうどよく合うんじゃないかと思うんです」
「確かにそうかも。じゃあ他にもナッツが必要よね」
顎に手をあてて考え込むカリナにアローナは問いかける。
「ありますか?」
「あるだけかき集めてみるわ」
「ありがとうございます!」
アローナはいたずらっぽい笑みで返してくるカリナへ、満面の笑みで答えた。
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