スイーツ娘、村へ帰る。



第六章





「ふんふふんふんふんふーん」

 アローナは鼻歌混じりに生地をかき混ぜた。

クロナとの勝負から数日経った今日、

アローナはミルクレープに挑戦中である。

「クレープ生地ってこれくらい緩くて大丈夫なのかしら?」

 少し疑問に思いながらもフライパンへ生地を流し込み、円を描く。

「薄く、丸く……」

 手早く慎重に焼いては皿に置き、また生地を作り続けた。

「これくらいでいいかしら?」

 ボールが空になるまで焼いてふと息を吐く。

それから、一枚ずつ皿に置きホイップした生クリームを

塗っては生地を重ねていった。

「仕上げはこれこれ」

 アプリコットのジャムをできたケーキの上へ塗り、遠くから眺めてみる。

「結構いいんじゃない?」

 満足して呟き、少しだけ切って口に入れた。

「おいしい!」

 思ったとおりのできに微笑んで廊下へでる。

「クロナ! クロナー!」

 自室にいるだろうクロナを呼ぶがなかなか降りてこない。

「もう、何してるのかしら?」

 せっかく上手くできたのに。

少し拗ねた気分で台所へ戻ると、お勝手からノック音が響いた。










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