スイーツ娘、村へ帰る。



第六章





「カリナさん!」

 扉を開けると、深緑色の実をカゴいっぱいに持ったカリナが立っていた。

「こんにちは。今いい?」

「あ、はい。もちろん大丈夫ですよ」

 口角をあげて答えると、カリナがカゴから深緑色の実を1つ手に取る。

「これ、食べてみてほしいの」

「何かの実ですか?」

 手に取ると思ったよりふにふにしていた。

馴染みのない感触に困惑しつつ首をかしげると、

カリナが得意げに説明を始める。

「アボカドっていうのよ。実の中は柔らかくてね。

ボイルした海老と混ぜ合わせるといい味見がするのよ。

レモンを入れるのがコツなんだけどね」

「海老ですか?」

 アローナはいまいち完成図が想像できず瞬きを繰り返した。

「そう。ない場合はそのままでサラダにしてもおいしいわよ」

 カリナの言葉に、アローナは慌ててかぶりを振る。

「いえ、実はあるんですよ。さっきイルミラが分けてくれて」

 珍しい海老が手に入った、とイルミラが朝早くに持ってきてくれたのだ。

彼女が言うにはエビフライにするのがいいらしいが。

アボカドにも合うだろうかと考えていると、カリナが手を打った。

「ならちょうどいいわ! いくつか渡すからぜひ食べてみて!」

 さらに2つほど渡してくれるカリナへアローナは口元を綻ばせる。

「ありがとうございます。さっそく試させてもらいますね」

「ええ」

 感想を聞かせてね、と言い置き去って行ったカリナの

後ろ姿を見送り、アローナは勝手口を閉めた。










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