スイーツ娘、村へ帰る。
第六章
9
「アボカドかあ……。1つは夜ご飯に使うとして、
あとの2つはサラダかしらね?」
アローナはアボカドを矯めつ眇めつしながら呟く。
「それにしても、クロナってばなんで来ないのかしら?」
2階へ呼びに行こうとして、ふとその足をとめる。
「あんまりしつこくしちゃいけないわよ、ね」
これからは甘えすぎたり干渉しすぎたりすることは、
極力しないようにしようと決めたのだ。
「我慢がまん……」
アローナは椅子に座りしばし目を瞑る。
だが、クロナはやはり降りてこない。
そっと目を開けると、窓辺に置かれた木箱と
目の前のアボカドが一気に目へ入った。
「海老って甘くしてもおいしいって聞いたことあったわよね……」
アローナはペロリと下唇を舐める。
「海老とアボカドって合うのよね……」
これから生きた海老と格闘するのは骨が折れるが時間はある。
「ちょっとくらいなら、いいわよね」
アローナは立ち上がり厚手の手袋をする。
「いっちょやってみますか!」
ゆっくりと木箱を開け、1人にんまりと笑んだ。
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