スイーツ娘、村へ帰る。



第六章





「アボカドかあ……。1つは夜ご飯に使うとして、

あとの2つはサラダかしらね?」

 アローナはアボカドを矯めつ眇めつしながら呟く。

「それにしても、クロナってばなんで来ないのかしら?」

 2階へ呼びに行こうとして、ふとその足をとめる。

「あんまりしつこくしちゃいけないわよ、ね」

 これからは甘えすぎたり干渉しすぎたりすることは、

極力しないようにしようと決めたのだ。

「我慢がまん……」

 アローナは椅子に座りしばし目を瞑る。

だが、クロナはやはり降りてこない。

そっと目を開けると、窓辺に置かれた木箱と

目の前のアボカドが一気に目へ入った。

「海老って甘くしてもおいしいって聞いたことあったわよね……」

 アローナはペロリと下唇を舐める。

「海老とアボカドって合うのよね……」

 これから生きた海老と格闘するのは骨が折れるが時間はある。

「ちょっとくらいなら、いいわよね」

 アローナは立ち上がり厚手の手袋をする。

「いっちょやってみますか!」

 ゆっくりと木箱を開け、1人にんまりと笑んだ。










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