卵のつがい



第一章

1−19



「あん?」


 聞こえなかったのか、それとも理解できなかったのか。エポックが

聞き返してくる。ミラは今度こそ聞き返されないようにわかりやすく

説明した。


「だからあたしたちみたいに普通に悩んだり、喜んだり、悲しんだり

するってこと」

「へー。なるほどねー」

「な、何よ?」


 エポックが感心したように頷く。てっきりまた冷やかしてくるのか

と勘ぐっていただけに、まじめな顔でこちらを見てくる彼の様子にミ

ラは戸惑った。


「いやー、男の好みが変わったんだなーって思ってさ」

「は? 何を急に」


 イースの話からどうして好みの男性の話になるのか。突然変わった

話題についていけずミラは、瞬きを繰り返した。


「いや、だってお前、昔っからおじさんみたいな男がタイプなんだろ

う? おばさんから聞いたぞ。でもその彼氏は全然おじさんとは違う

みたいじゃないかよ」


 一体、エポックと母はどういう話をしているのだ。ミラは家で留守

番をしている母、アクアのことを思い浮かべ、うなだれた。










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