卵のつがい



第二章





 壮齢の男の後ろからボサボサ頭のひょろりとした男性が見え隠れす

る。見覚えのあるその姿にミラは目を瞠った。


(え、嘘なんで?)


 自分から会いに行かなければ会わないと思っていたイースが目の前

にいる。ミラは唐突すぎる再会にどうしていいかわからず、その場で

固まってしまった。


「こんにちは。君がアラバの森のモモンガを調べると言ってた人かい?」


 少ししゃがれた声が聞こえ、我に返る。視線をそちらへ戻すと、く

たびれた白衣を着た恰幅のいい男性が、黒いたれ目をさらに下がらせ

微笑んでいた。彼がイースの言っていたアルフ先生だろうか。たしか

イースがとても尊敬している人だったはずだ。手紙でも何度か話題に

のぼっていた。


「はい。そうです。今日からこちらのお宅でお世話になります。よろ

しくお願いします」


 ミラは、優しげな表情を浮かべているアルフへお辞儀をする。


「やはりそうじゃったか。あの森にはさまざまな薬草が生えているか

ら、気を付けて調べてくれるとありがたい」

「はい。それはもちろん」


 きっとその薬草を使って病気や怪我をした人たちを治しているのだ

ろう。ミラは間髪入れずに頷いた。










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