卵のつがい
第三章
1
「それじゃセレナさん行ってきます」
「ああ。気をつけて行っておいで」
朝食も終え、人々が活発に動き出す頃。
ミラはエルの祖母であるセレナに見送られ、家を出た。
(いよいよ探索が始まるのね)
夜行性のモモンガを調べるのだから本当だったら、
夜森へ入るはずだった。
しかし、アラバの森には薬草になる草木が群生しているため
むやみに入ることを禁止されている。
それに初めての森だ。
日がある昼間に調査したほうが、危険が少ないのではという話に
なったのだ。
(村長さんの言ってた小動物がモモンガだったらいいんだけどなー)
モモグの森で保護を始めたおかげでモモンガの数も大分戻ってきた。
とはいえまだまだ最盛期よりは少ない。
自分たち人間の勝手な行いのせいで絶滅させてしまったらと
考えるだけで胸が痛かった。
(でもだからこそイースからモモンガを飼ってったって聞いたときは
嬉しかったなー)
イースと初めて会ったときのことを思い出し、
ミラは自然と頬を緩めた。
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