卵のつがい
第三章
6
「んもう、恥ずかしがらなくたっていいじゃない!」
背中をバシンと強く叩かれ、ミラは咽ながら前へつんのめる。
しかし、彼女はこちらの状況などお構いなしに話を続けた。
「今、ピックスと話してる彼、ミラの彼氏なんでしょう?」
ニタニタと目じりを下げながらディアナが指を差す。
ミラが視線を向けると、
そこにはピックスと話すイースの姿があった。
(なんでイースのことがもうバレているのよ!)
ミラは驚き、目を見開く。
その隣でディアナが我慢できなくなったと言わんばかりに
くすくすと笑い出した。
「ちょっとエポック! あんた何度言えばわかるわけー!」
ミラは元凶であろうエポックを睨みつける。
だが、わざとらしく口笛を吹きながら明後日のほうを向いている
彼と目が合うことはなく。ミラは眉間にしわを寄せた。
「あたしのことを無視するなんていい度胸じゃない」
一向にこちらを見ようとしないエポックの態度にイライラが増す。
ミラは八つ当たりするかのように地面を踏みしめ、
エポックがいるほうへ歩き出す。
しかしピックスの声がそれを阻んだ。
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