卵のつがい



第三章





「んもう、恥ずかしがらなくたっていいじゃない!」


 背中をバシンと強く叩かれ、ミラは咽ながら前へつんのめる。

しかし、彼女はこちらの状況などお構いなしに話を続けた。


「今、ピックスと話してる彼、ミラの彼氏なんでしょう?」


 ニタニタと目じりを下げながらディアナが指を差す。

ミラが視線を向けると、

そこにはピックスと話すイースの姿があった。


(なんでイースのことがもうバレているのよ!)


 ミラは驚き、目を見開く。

その隣でディアナが我慢できなくなったと言わんばかりに

くすくすと笑い出した。


「ちょっとエポック! あんた何度言えばわかるわけー!」


 ミラは元凶であろうエポックを睨みつける。

だが、わざとらしく口笛を吹きながら明後日のほうを向いている

彼と目が合うことはなく。ミラは眉間にしわを寄せた。


「あたしのことを無視するなんていい度胸じゃない」


 一向にこちらを見ようとしないエポックの態度にイライラが増す。

ミラは八つ当たりするかのように地面を踏みしめ、

エポックがいるほうへ歩き出す。

しかしピックスの声がそれを阻んだ。










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