卵のつがい



第三章





「おっ、ミラも来たか。これで全員揃ったな、集まってくれ」


 先ほど出した声で気づかれてしまったらしい。

ピックスがイースとの話をやめ、こちらを見ていた。

ミラは内心で舌打ちをしながら負け惜しみとばかりに

エポックをジロリと見据える。


「……あとで覚えておきなさいよ」

「いいじゃねーか。そのうちわかることなんだからよー」


 何を怒っているんだ、と言わんばかりに首をかしげるエポックに

ミラは頭を抱えたくなった。


「いいわけないでしょう。

イースは彼氏なんかじゃないって何度言えばわかるのよ」


 ピックスの元へ歩き出そうとするエポックの腕をつかむ。

引きとめられ嫌そうな顔をするエポックへ人差し指を立てながら

言って聞かせた。


「いい、あたしからも言うつもりだけどディアナたちにちゃんと

訂正しておくのよ! わかった?」

「ったくうるせーな。わかったよ。わかったから手を離せ。

早く行かないとまた親父にどやされるだろう」


 焦ったような顔でエポックが了承する。

掴んでいた腕を勢いよく動かされ、拘束から逃れると

エポックはさっさとピックスの元へ行ってしまった。


「って、ちょっとエポック待ちなさいよ」


 一人残された形となり、ミラも慌てて彼のあとを追いかけた。










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