卵のつがい
第三章
7
「おっ、ミラも来たか。これで全員揃ったな、集まってくれ」
先ほど出した声で気づかれてしまったらしい。
ピックスがイースとの話をやめ、こちらを見ていた。
ミラは内心で舌打ちをしながら負け惜しみとばかりに
エポックをジロリと見据える。
「……あとで覚えておきなさいよ」
「いいじゃねーか。そのうちわかることなんだからよー」
何を怒っているんだ、と言わんばかりに首をかしげるエポックに
ミラは頭を抱えたくなった。
「いいわけないでしょう。
イースは彼氏なんかじゃないって何度言えばわかるのよ」
ピックスの元へ歩き出そうとするエポックの腕をつかむ。
引きとめられ嫌そうな顔をするエポックへ人差し指を立てながら
言って聞かせた。
「いい、あたしからも言うつもりだけどディアナたちにちゃんと
訂正しておくのよ! わかった?」
「ったくうるせーな。わかったよ。わかったから手を離せ。
早く行かないとまた親父にどやされるだろう」
焦ったような顔でエポックが了承する。
掴んでいた腕を勢いよく動かされ、拘束から逃れると
エポックはさっさとピックスの元へ行ってしまった。
「って、ちょっとエポック待ちなさいよ」
一人残された形となり、ミラも慌てて彼のあとを追いかけた。
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