卵のつがい



第一章

1−4



「誤魔化してなんか……」

「知ってるか? ミラって顔が赤くなる代わりに鼻の頭に汗くんだ

ぞ」

「嘘っ!」


 エポックの指摘に鼻を手で抑える。本当に汗をかいているのか確

認していると、エポックが腹を抱えながら大きな声で笑いだした。


「ブッハハハハハハ。嘘に決まってんだろう。嘘だ、う・そ。まん

まとひっかかったな。動揺してる証拠だ」


 何が起きたのか、理解できずに固まっているこちらをよそにエポ

ックは、あー笑ったと目じりを拭きながら早々に立ち去っていく。


「え? って、エポックあんたっ! あたしを騙したのねー!!」


 ふつふつとわいてくる怒りに拳を握りしめ、叫ぶ。しかしエポッ

クの足が止まることはなかった。


「あ、そうそう。あともう少ししたら出発だから用意しておけよ」

「ちょっと、エポック待ちなさーい! って、え、もう出発?」


 歩いたまま告げられた言葉に目を見開く。慌てて周囲を見渡せば、

同じように休憩をしていた同僚たちが荷物の整理をしているのがわ

かった。










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