卵のつがい



第三章

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「おい、彼氏ばっかり見てないでちゃんとあの子の話聞けよな」


 ふいに横合いからエポックに小突かれる。

ミラは慌てて否定した。


「み、見てないし」


 図星を指され、うろたえながらもエルの声に耳を傾ける。

しかし、ちょうど挨拶が終わってしまったようだ。

頭を下げているエルへ拍手が湧き起こる。

ついついイースのことが気になってしまい、

エルには申し訳ないことをした。

あとできちんと謝ろう。

胸の内で誓っていると、エルが一歩さがりイースへ場所を譲った。


(やだ。次はイースの番じゃない……ちゃんとできるのかしら?)


 まるで子供を初めて同世代の中へ送り出す母親のような気分だ。

ミラはハラハラしながら皆の視線を一身に集めるイースを見守った。


「初めまして、イースです。

王都にあるアテューツ学園で医師になるための勉強をしています」


 どうやら自分の心配は杞憂だったらしい。

固唾を飲み聞こえてきたイースのきちんとした話し方に

ミラは力んでいた肩の力を抜いた。










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