卵のつがい
第三章
12
「それじゃあ出発するぞ! 遅れるなよ」
エルの背中を軽く叩き、ピックスが歩き出す。
同僚たちがそれに続いた。
先頭を歩くエルにディアナが真っ先に話しかける。
「エルちゃん、今日はよろしくね。私のことはディアナって呼んで」
「うん」
(さすがディアナね)
知らない大人ばかりがいる状況にやはり緊張していたのだろう。
少しこわばっていたエルの顔に笑みが浮かんでいた。
(エルのことはディアナに任せておけば問題なさそうね)
ディアナが行っていなければ
自分が一緒に歩こうかと思っていたのが、十分なようだ。
エルの元へ駆け寄ろうとしていた足を緩め、
ミラはイースとエポックのいる最後尾へ足を向かわせる。
「今日はありがとうございます。
突然のことでびっくりしたんじゃありません?」
「いえ、大丈夫ですよ。まぁ、多少驚きましたけど……
アルフ先生の無茶ブリはいつものことですからね」
すべての同僚たちとすれ違い最後尾までたどりつくと、
エポックとイースが横並びに歩きながら話していた。
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