卵のつがい
第三章
14
「アハハハハ。イースって面白いやつなんだな」
「いえ、そんなことはない……と思います」
やはり丁寧な話し方になってしまうようだ。
苦笑いを浮かべたイースがズレタ眼鏡を手の甲で直す。
「まぁ、いいや。ところでよー」
腹を抱えて笑っていたエポックが目じりに浮かんだ涙を
拭いながらおもむろに切り出した。
「はい?」
改まった口調にイースが首を傾げる。ミラは嫌な予感がした。
(エポックの奴また変なことを言うつもりなのかも!)
イースにまで余計なことを言われてはたまったものではない。
ミラはエポックの言葉を阻止しようと駆け足で二人の間に入った。
「ちょっとエポック!」
まさか自分が登場するとは思ってもみなかったのだろう。
イースとエポックの目が大きく見開かれた。
「ミラ……なんだよお前エルちゃんのところに
行ったんじゃなかったのか?」
立ち直りが早かったエポックの悪態にミラは腕を組み反論した。
一つ前を読む 小説の部屋へ戻る 次を読む
|