卵のつがい
第三章
15
「エルにはディアナがついてるから問題ないわ。
それよりエポック! あんたまた」
腰へ手をあて、怒りを露わにする。
エポックが慌てた様子で手のひらを前へ出してきた。
「まあ待てまて落ち着けって。イースが驚いてるぞ」
顎をしゃくるエポックを訝しく思いながら、
視線をそちらへ向ける。イースが目を見開いたまま固まっていた。
(やだ、イースがいたんだったわ)
腹が立ちすぎて彼の存在を一瞬忘れてしまっていた。
そんなこちらを見てエポックがにやにやと含み笑いをしてくる。
しかしミラはそれどころではなかった。
(どどどどうしよう。昨日だってまともに話してないのに……)
パニックになっているのがわかったのか、
エポックがやれやれと言わんばかりに肩を竦める。
「久しぶりなんだろう? お前イースに挨拶したのか?」
ミラはぶんぶんと音がなるくらい激しく首を横に振った。
エポックがそれをチョップで止めてくる。
痛みを伴う衝撃に涙目になりながらミラはエポックを睨みつけた。
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