卵のつがい



第三章

20



 おざなりに返事をしていたのがエポックにもわかったらしい。

そのまま押し黙り、気まずい空気が流れる。

そのときだ。先頭から、興奮したピックスの声が木霊した。


「おーい、こっちへ来てみろ!」


 ミラはハッと我に返り、うつむいていた顔をあげる。

瞬間、エポックと目が合った。


「モモンガの跡でも見つかったか」


 エポックがにやりと口角をあげる。ミラも笑みを返した。

そしてそのままイースへ視線を向ける。

しかし、すぐに目を背けられてしまったため

イースと笑みを交わすことはできなかった。


(やっぱり怒ってるんだわ……)


 胸が痛い。今回のことでイースに嫌われてしまったら。

そう考えるだけで、サーッと血の気が引いていくような気がした。


「ミラ、行くぞ!」


 項垂れそうになった頭が、エポックの声で止まる。


(モモンガの探索が早く終われば

イースだって早く勉強に戻れるんだわ!)


 改めて気づいたことにミラは胸が弾む。


「行きましょう、イース」


 ミラは何事もなかったかのように満面の笑みでイースを促し、

エポックのあとを追った。










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