卵のつがい



第三章

22



「明日からいよいよ夜の探索だ。それまで自由にしてくれて構わない。

あー、だがくれぐれも羽目を外さないようにな。以上解散だ」


 ピックスの声と共に同僚たちがちりぢりになる。

ミラは彼らの間をかいくぐりイースの元を目指した。

この勢いのまま話しかけてしまおう。

しかし、その目論見は失敗に終わった。

ピックスがイースを呼び止めていたのである。


「イース、明日も頼んでもいいか?」


 小走りで向かっていた足を緩めながら聞こえてきた言葉に

ミラは慌てた。


(明日もなんてダメに決まってるじゃない!)


 優しいイースのことだ。

たとえ嫌だったとしても了承してしまうに決まっている。

これ以上我が儘を通して嫌われたくない。

ミラは駆け足で彼らの間に割り込んだ。


「ピックス」

「お、おう、なんだいミラ?」


 突然の登場にピックスが目を丸くする。

しかし、ミラはお構いなしにまくし立てた。


「イースの案内は今日でおしまいにして。

彼は元々臨時だったんだから構わないでしょう」

「いや、でもな……」


 了承したくないのかピックスが眉毛を下げ、言葉を濁す。

ミラが再度説得しようピックスに詰め寄ったが、

イースによって阻まれてしまった。










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