卵のつがい



第三章

23



「ミラ、ぼくは別にかまわないよ」


 苦笑しながらもイースからじっと見つめられ、ミラは嬉しくなる。

このまま素直に甘えてイースと一緒に探索したい。

そんな誘惑を追い払うように首を激しく横へ振った。


「いいのよ。

それよりあなたにはしなくてはいけないことがあるでしょう?」


 安堵の表情を浮かべると思っていた。

ミラには適わないな、と言いながら

照れくさそうに笑うイースの顔を想像していたのだ。

しかし、彼のためを思って発した言葉で

イースを傷つけてしまったらしい。

悲しげに眉をひそめるイースにミラは愕然とした。


(どうして……そんな顔をさせるつもりじゃなかったのに……)


 言い直そうと口を開くが、言葉が出てこない。


(何か、言わなきゃ。でもなんて言えば)


 焦れば焦るほど思考が停止していく。

茫然と見つめ返すことしかできないでいると、

イースがこちらの視線から逃れるように俯いた。

そして苦痛に耐えるように唇をぎゅっと噛みしめ、小さく頷いた。










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