卵のつがい



第三章

25



「は? 嫌われる?」


 呆れたと言わんばかりのエポックに苛立ちが募る。

なぜこうも鈍いのか。

ミラは懇切丁寧に説明しなければ理解しない幼馴染に

内心でため息を吐きながら、彼に詰め寄った。


「あたしお医師様になるために勉強してるイースを

邪魔しちゃったのよ? 

イースは優しいから了承してくれて。

あたし喜んじゃったけど断らなきゃだめだったのよ……」


 これで自分の気持ちがきちんとわかったはずだ。

すぐにエポックからの謝罪がくるだろう。

ミラは、腕を胸の前で組みフンっと鼻から息を吐き出しその時を待った。

しかし、期待していた声は聞こえず、

代わりに熊の雄叫びのような声が周囲に響き渡った。


「アハハハ」


 突然の笑い声に、発生源へ視線を向ける。

そこには口を大きく開け手を叩くピックスの姿があった。


「な、何よ! 笑うことないじゃない!」


 大人のピックスには他愛のないことなのかもしれないが、

こちらは真剣に悩んでいるのだ。

ミラは、羞恥心からあふれ出しそうになる涙を必死でこらえながら

ピックスを睨みつけた。










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