卵のつがい



第三章

26



「イヤー、すまんすまん。

ミラがイースにそんなに惚れてるとは知らなかったんだ」


 いつ知り合ったんだ、と聞いてくるピックスにミラは絶句する。


(ほ、惚れてる? え? 私が? イースを?

え、やだどうしよう)


 イースのことは確かに好きだ。

だが、それは異性に対しての好意ではなく友人としての意味だと

思っていた。

しかし今までを振り返ってみれば

確かに友人に対しての好意だけでは説明がつかないほど

一喜一憂していたような気もする。


(え、じゃあ本当にあたしイースのことを……)


 ピックスからの指摘にじわじわと実感してくる。

それに比例して頬に血がカーッとのぼり始めた。

身悶えたくなるほどの羞恥心に動けずにいると、

エポックとピックスが呑気に話し始めた。


「以前うちの村にきたみたいだぜ。

なんでもミラの一目惚れらしい」

「ほー、うちの村にか。

それにしてもミラが一目惚れをするとはな」


 事実無根の話で盛り上がるエポック親子にミラは何も言えず、

ただ口をポカンと開けることしかできなかった。


「アクアさんも驚いてたぜ」

「だろうな。……だがイースだって負けてなさそうだったぞ」


 ピックスが納得するように頷く。

ミラは顎へ手を当て一瞬考えるように俯いたあと

発せられた彼の言葉に目を瞠った。










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