卵のつがい



第三章

28



「傷ついた……どうしようやっぱり嫌われちゃう」


 ピックスの言葉に追い打ちをかけられ項垂れていると、

エポックがイラついたように声をあげた。


「あーもう、グダグダ面倒くせー!」

「め、面倒くさいとはなによ!」


 落ち込んでいる幼馴染に対してその言い方はないだろうと、

ミラは彼を睨みつける。

しかし、エポックは頭をガシガシと掻き毟りながら

なおも言葉を重ねた。


「こんなところで悩んでるお前のことだよ!

さっきからグチグチと言いやがって、

さっさと謝っちまえばいいだろう」

「あ、あたしだってできるならそうしたいけど……

でもイースはもう帰っちゃったじゃない」


 言い訳じみたことを言っていると自覚はあった。

だが、追いかけて声をかける勇気が持てず誤魔化すと

エポックがにやりと口角をあげる。


「よし、言ったな」

「な、何をよ」


 何か企んでいるような顔つきのエポックにミラは嫌な予感がし、

無意識に後ずさった。

しかし少し遅かったようだ。右手首を掴まえられる。


「謝りたいんだろう? だったら行くぞ!

んじゃ、親父ーちょっくら行ってくるわー」

「おー、気を付けてなー」

「え、ちょ、エポック? どこへ連れてく気?」


 戸惑っているこちらのことを無視し、

エポックは行き先も言わずに歩き出した。










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