卵のつがい
第四章
1
休むことなく無理やり引っ張られ歩くこと数十分。
始めはどこへ向かっているのかわからなかったが、
煉瓦でできた塀と門が近づくにつれ察しがついた。
きっとここがイースの住んでいる学園なのだろう。
「ちょ、ちょっとエポックいい加減離して!」
ミラはエポックの手を振り払うように、腕を上下に揺さぶった。
それが功を奏したのか、元々エポックの力が緩んでいたのか。
彼の手はあっさりと離れた。
しかし戻ることは許さないと言わんばかりに
エポックは両手を広げる。
「逃げようたってそうはいかねーぞ!
お前が言ったんだからな!」
「さすがにここまで来たらちゃんと言うわよ!
……でも」
そこまで信用がないのか。
ミラは肩を竦めながら別のことを考え始めると
エポックが攻め立ててきた。
「でもだと? お前まだ」
「違うわよ。
どうやってイースを探せばいいのか考えていたの!」
赤茶色の煉瓦に沿って歩いていると
塀と同じ煉瓦でつくられた門へとたどり着く。
中を覗くと、馬車が並走しても十分な広さを持つ石畳が
門からまっすぐ伸びていた。
その先にはいくつもの建物が建っている。
イースが学園で暮らしているということは
手紙で知っていたが、
まさかこんなに大きなところだとは思ったもみなかった。
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