卵のつがい
第四章
3
ミラは幼馴染みの不可解な行動を不思議に思い、
エポックの視線の先へ顔を向ける。
そこには艶やかな黒髪を後ろ一つで束ねている
女の子が立っていた。
(キレイな子)
日に焼け黒くなっている自分とは正反対なほど
きめのこまかい真っ白な肌だ。
やはり王都の近くにある学園だ。
自分たちとは何かが違う。
(そういえばイースだって田舎っぽい顔じゃないものね……)
寝癖とよれよれの服を着ているから
野暮ったく見えてしまうが、元々顔は整っているのだ。
きちんとした格好をすれば、
目の前に立っている少女の隣に立っても見劣りはしないだろう。
(イースのそばにはこんなに綺麗な子がいっぱいいるのかしら?)
自分の容姿に劣等感を抱いたことはないが、
少女の姿にミラは少し落ち込んだ。
「あの? もしかして具合でも悪いんですか?」
こちらが何も話さないのを見て勘違いしたようだ。
心配気な顔で覗き込んでくる人がいた。どうやら少女の連れらしい。
エポックより少し背の低い
爽やかな好青年といった相手の顔が近づき、
ミラは慌てて目的を告げた。
一つ前を読む 小説の部屋へ戻る 次を読む
|