卵のつがい



第四章





「ち、違います。あの人を探してて」


 両手を振りながら否定すると、青年の焦げ茶色の瞳が丸くなった。


「人? 迷子ですか?」


「迷子じゃないです。

あのここの学生でイースっていう人を探してて」


 わたりに船だ。

ミラは固まったまま微動だにしなくなったエポックを

放置することにして話を進めた。


「イース先輩?」

「知ってるの?」


 先輩と言うからには彼の後輩なのだろうか。

ミラは期待を込めながら彼らを見据えた。

すると今まで青年任せで会話に加わろうとしなかった少女が

突然会話に入ってくる。


「あ、もしかしてミラさんですか?」


 名乗ってもいない自分の名前を言い当てられ驚く。

それは少女の連れも同じだったようだ。


「グラン、この人のこと知ってるのか?」

「会ったことはありませんよ。名前だけです」


 問い詰めるように青年が少女、グランの肩を掴む。

しかし、少女は肩に置かれた手を自然なながれで逃れ

こちらへ目線を向けた。










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